ぶるずあい

腐れ学生のブログ

栄光のヤキニクロード

現実逃避に文章が書きたくなったから書く。やっぱりクレヨンしんちゃんは面白いなぁ。

クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ 栄光のヤキニクロード』は2003年の公開作品。劇場版クレヨンしんちゃんとしては11作品目であり、監督が三代目の水島努に変更になった初めての作品である。

前作『戦国大合戦』、前々作の『オトナ帝国の逆襲』は今でも語り継がれる名作であり、特に大人たちに圧倒的な支持を受けた。家族の絆をテーマとした感動路線であったからというのもあったが、一貫して内容が大人向けに作られていたからであろう。

 

そんな二作とは打って変わって「ヤキニクロード」は物語全編がクレしんらしい、ナンセンスギャグ満載の娯楽作品に仕上がっている。かといって完全に子ども向けにシフトしたかと言うとそうではなく、至る所に洋画のパロディや、子どもには決して分からないユーモアが散りばめられており、侮れない。ブラックホークダウン! ブラックホークダウン!

 

ある朝の野原家、いつもに輪をかけて貧相な朝食に、とてもご機嫌斜めなしんのすけ達。だがそれは、夕食の最高級焼肉の為であった。
しかしそこへ突然謎の男が助けを求めて転がり込んでくる。それを追撃してきた謎の一団に危険を感じた野原一家は、冷蔵庫に入っている最高級焼肉を残して、その場から逃げ出した。
何とか謎の一団の追跡を振り切った野原一家だったが、どういうわけか突然警察やマスコミから凶悪犯一味と断定され、追われる事になってしまう。近所のおばさんやミッチー&ヨシリン夫婦は報奨金目当てに野原一家に襲い掛かり、かすかべ防衛隊や幼稚園の先生たち、ひろしの会社の同僚など親しい人達は一家を拒絶、やむなく野原一家は春日部から逃亡することになる。     wikipediaより 

 

◆『脱出劇』『ロードムービー』としての面白さ

今作はしんのすけたち野原一家が文字通り『訳の分からないまま』に指名手配を受け、春日部から熱海を目指すことになる。『脱出劇』映画は世に多くあり、最近だと伊坂幸太郎原作の『ゴールデンスランバー』などがあるだろう。主人公のかつて知人や友人が敵となり、様々な人たちと出会い、時に協力を受けたり、時に裏切られ、それでも生き残るため必死にもがく。『脱出劇』には魅力的な要素がたくさん盛り込まれており、ぼくの好きなジャンルの一つだ。「ヤキニクロード」にも前述した要素が盛り込まれている。そんな『脱出劇』ものの一つで、S・キング原作の『バトルランナー(原題Running man)』は傑作だと思う。時間があればぜひ読んで欲しい。

 A・シュワルツェネッガー主演の映画もあるがあれは全くの別物である。

バックマン・ブックス〈1〉バトルランナー (扶桑社ミステリー)

バックマン・ブックス〈1〉バトルランナー (扶桑社ミステリー)

 

 

閑話休題

野原一家は、一度離ればなれになり、各々で熱海を目指す事になるが、マクガフィン(物語を構成する上で、登場人物たちにとっては重要であるが、他のものに置き換える事が可能)となるのは「焼き肉」である。野原一家は「この危機的状況を乗り越え、絶対に家族全員で美味しい焼き肉を食べる!」というささやかな思いを胸に、離ればなれながらも何度も危機を乗り越えていく。微笑ましくもあり、くだらない、庶民として共感せざるを得ない絶妙なマクガフィンではないだろうか。

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↑劇しんではおなじみ、リアル顔。焼き肉の為ならこんな顔になるのも分からないでもない...か?

 

◆オチの弱さ、ボスの魅力の無さ

今作の敵となる「スウィートボーイズ」という組織のボスが、結局何が目的だったのかよく分からないのである。「熱海の再興」「俺自身が熱海になる」と語るが正直意味不明である。そしてあっさりひろしに殴り倒され、洗脳装置をしんのすけが使い、恐らく登場人物全員の物語に関する記憶が消えた、という見方によっては不気味な終わり方を迎える。まぁそのあと本来の目的である焼き肉を食べられたので良かったのだろうが。

 

◆まとめ

傑作とは言えないかもしれないが、前作、前々作からの流れをなんとか変えようという努力が伝わってくる作品。大人になった今見ても、十分に腹を抱えて笑う事ができるだろう。まだまだ内容について書けるがあんまり長いとだれるのでこれでおしまい。