ぶるずあい

腐れ学生のブログ

窓ガラス

内定も貰い、卒論もなんとか形に出来て、あとは何もトラブルが無ければ、大学を卒業することになる。

 

 入学してからの4年間、あっという間だった。最後の講義を終えて、帰り道のモノレールに揺られている間、窓ガラスに写っている自分を見てふと思った。「俺の学生生活は充実したものだったのだろうか」と。

 

 そもそも何をなせば充実していたと言えるのだろう。小遣い稼ぎのアルバイト、殆ど顔を出さなかったサークル活動、泣きそうになりながら必死で書き連ねる期限ギリギリのレポート。アイドル声優に熱をあげ、自滅した。何にしても中途半端だったが一通り経験した。けれども空虚だ。何かが足りない。

 

 恋愛だ。色恋だ。異性とのイチャイチャが無かった。

 

 大学入学当初は、まだ見えない「何か」を期待していた。これからの4年間、東京で一人暮らし。経験したことが無い、楽しいことや、悲しいことで満ちあふれていると。ひょっとしたら彼女の1人や2人出来るかもしれないなぁ、なんて。

 

 毎日モノレールの窓ガラスに写る自分を見ては、「今日は寝癖がついてるなぁ」、「髭をちょっと伸ばしてみるか」、「さっきのゼミでの受け答えは良くなかったなぁ」と色々なことを、本当に色々なことを逡巡していた。殆どは他愛も無いことだが。

 

 窓ガラスに写る姿が、ひとりから、ふたりになることは無く、4年間は終わろうとしていた。